179 「2005年 終わり」 12月29日

いよいよ今年も終わりますね。
どういう年だったか、なんて振り返っている余裕もなく、ただただ激動の日々が続いているという感じでしょうか。
引っ越してきた当初はほんと時間の歩みは遅かったですが、今はそれの帳尻合わせのごとく、あっという間に一日が終わる気分。

何かを強くカタチにできたわけではないのですが、東京に住むことによって、
自分にはなかった新しい事柄を猛スピードで体内に取り込んでいるような感触があります。
まるでパソコンのダウンロードですね・・・。
ちゃんと事柄を選ばないと・・壊れます。
量、多過ぎです・・。

来年はどんな年になるのか、さっぱりわかりません。
仕事はさらに軌道に乗っていくでしょうけど、これはかなり他力本願的な要素が強いですからね。
すんごい面白い仕事が来るかもしれないし、当然、がっかりするようなものもまたあると思います(笑
でもそんなギャンブル的感覚は楽しいですね。
関西でもなかった訳ではないですが、こちらの方がその振幅は大きいような気がします。

来年はぐっと大きく変わりたいし、
その変化した僕を見ていただける機会があることを願います。

では寒いですので風邪などに気をつけて。
みなさまにとって良い新年であることをお祈りしています。








178 「半年でわかったこと」 12月27日

10日も書いてなかったのですね、すいません・・。
別に何か忙しかったというわけでもないのですが、なにかと雑用に追われますね、12月は。

東京に来て半年が経ちました。
半年も経つとなかなか今までわからなかったものが、少しずつ見えてきた気がします。
まず東京はいろんな意味において、おそろしく巨大だ、ということです。
街自体もそうですね。
たくさんの街があり、そしてそれらがそれぞれの個性を持っています。
その違いが面白いです。
これだけの選択肢があって、気が付いたのですが僕が好きなのは混沌とした街です。
ひろーくてオシャレなのもいいのですが、迷路のようで、何かを見つけだすような喜びが感じられるのが好きです。
ちょっと関西チックと言えなくもありません。

写真に関して言えば、ポップで、より強いものが求められているような気がします。
雰囲気で見せるのではなく、訴えたいことがきちんとストレートに伝えられていること。
このスタイルは今の僕の気分にとって、とてもありがたいことです。
僕はそういう写真の強さを求めているし、今の気持ちとしては直球しか投げないつもりでいます。
自分の写真を変化させても受け入れてもらえる、そんな環境があったことは幸運です。

この半年でいちばん自分が等身大でいられたのは、サントリーの仕事だったと思います。
静かだけど力強い。
ウイスキーが持つその性質と、自分が本来持っていた写真のスタイルが似通っていたのだと思います。
お酒の撮影は好きですし、得意な方だとは思うのですが、
だからといって実際、そのお仕事に携われるというわけではありません。
やはり縁があるか、どうかということですから、そこが難しいところですね。
たまたま今回、縁があって参加させていただきましたが、この仕事はずっと続けばいいな、と思っています。


いろんな意味において、変わらないことは大事だけど、
でも変わることも魅力的で、また自分も時代もそれを求めています。
創造するものにとって変化することは大切なことです。
僕たちは常に「新しさとは何か」ということを探究する義務があります。
「おれは十分これでやっていける」とその義務を放棄した途端、その人は古くなっていきます。
僕はそんな人をたくさん見てきたし、自分がそうなりかけた時もありました。
もちろん毎回、新しさを発見するのは難しいです。
ただいつもそうありたいと願う気持ちはとても大切だと思います。

チャオ。






177 「リビングと青山」 12月18日

時間ができたので、ずっと先延ばしにしていた商品の物撮りを始めました。
場所はリビングで。
トップ1灯、左右に1灯ずつの計3灯。
ライティングは比較的シンプルですが、いかんせんそこはリビング。
もう少し下がりたいけれど、テレビがあって進めないとか、
高さを上げたいけれどちょうど天井の梁のせいで妙に低いとか、うーん・・・。

撮影自体はライトさえ決まれば、そんなに時間はかかりませんが、
何が大変かと言えば、まず機材がどこにあるかと言うことでした・・・。
それらを押し入れの中から見つけだすことにたいそう時間を要し、
かつ撮影中「ハニカムどこだっけ」とか「フレキシブルアームがないとライトを低くできないよ」とか、
そのたびに2階に上がってきて、いろんな段ボール箱に顔を突っ込み、ゴソゴソ・・・。

スタジオだったらすぐに機材の準備ができるし、前日からセッティングしておくこともできますが、
何度も言うようにいかんせんそこはリビング。
生活ができません・・・。
スタジオ兼事務所が欲しいなあとあらためて思います。

まあ。まだまだそんな余裕はないですが、もし事務所を構えるとしたならどこにするか、と時折考えます。
ここ三茶でも都心に近いですから、十分便利と言えます。
楽しい街ではありますが、でもクリエイティブかと聞かれたら、なんとも。
そう言う意味ではありきたりかも知れませんが、青山周辺はとてもいいです。
洋書を扱う本屋がたくさんあったり、写真展もあちこちで開かれてるし、
おそらく日本でいちばん流行に敏感な街と言えます。

仕事をすることの便利さや、広告的クリエイティビティに磨きをかけたい人には、とても魅力的な街です。
それに友人との待ち合わせは何かと青山の表参道駅が多いです。
時間をつぶせるし、便利なんでしょうね。

話は少し変わりますが、友人に泊めてくれとよく言われます。
全然、泊まっていってもらってもいいのですが、でもリビングとか、玄関の廊下とか、
ほんと、よほど親しくないとなかなか、ここで寝なよとは悪くて言えません・・・。
おまけに打ちっぱなしの一戸建てのような家ですから、冬の寒さは一級品です。
なのでおそらく体を悪くします。

そんわけで青山に事務所があったら、そこに泊まってもらえれば、そんなに気遣いもしなくていいし。
でも問題は青山に風呂屋があるかどうかだな。
青山で風呂に入る人いないよね・・きっと・・。





176 「ロックンローラー」 12月14日

携帯電話が古くなってきたせいか、バッテリーの持ちが悪くなってきました。
しょうがないのですぐそばにあるドコモまで行って、気にいったものがあれば買うことにしようと思いました。

店内には2人ほど客がいて、ひとりはカウンターに、もうひとりの男性はソファーに腰掛けて店員に何か詰め寄っている。
「そんなもの知らねえよ。見たこともねえよ。そんなの」
男性店員はちょっと困った様子でした。
僕はその男性客の声に聞き覚えがありました。
落ち武者のような金髪のロングヘアー。
まさに、ウチダユウヤ・・・。
本物だぁ・・・。

最近、泥棒に入られたとテレビで言ってた。
携帯も盗られたのかな。
「わかったよ。ちょっと捜して来るよ。待っててくれ」
そう言ってウチダユウヤは杖をついてドコモを出ていきました。

5分ほどして「あったぜ。悪かったな」と帰ってきたぐらいだから、きっと家が近いのだろう。
ご近所さんか・・・。

僕が自分の携帯を登録している間に、もう一度ウチダユウヤは家に帰る。
そしてまた5分ほどしてやって来ると、ソファに座って住所データの転送待ちをしている僕の前のカウンターに座る。
ウチダ「電話決めたぜ。こいつでいいよ」
女の子「かしこまりました」
U「これイカスよな」
O「ええ、かっこいいと思います」
「そうだ。着信時間を設定してくれねえか。45秒だ」
「それはつまり、呼び出し音でございますか・・」
「ああ。1分じゃ、ちょっとオイラにゃ長えんだよ。よろしくっ!」
「はっ、はい」
「ところでアンタは何秒だい」
「わたくしは30秒で設定させていただいております」
「そうか。オレは45秒だ」
「は、はい」
「そうだ。それと着信音も替えてくれよ。クールなやつだ」
「こんな曲でいかがでしょう」
「いいねぇ。いいよ。あんた仕事できるねぇ。いいお嫁さんになるよ」

女の子もウチダユウヤの気遣いもあって、とても楽しそうにしています。
スタッフもお客さんもそれを何となく聞いていて、とても暖かい空気が店内に流れています。
ウチダユウヤの話し振りにはとてもロックな感じがあるのだけど、でも優しさが感じられました。
この人の曲は全然知らないけど、でもちょっぴりファンになりました。

僕が店から出ると世田谷通りの信号にウチダユウヤが立っていました。
ラグビー観戦するようなナイロンコートにアディダスの巾着袋。
黒い杖に落ち武者のような金髪。
もう正直言うとホームレスに近いです(笑

でもなんか、かっこいいんですよね。
きっとこれまで生きてきた中で身に付いた、言動と立ち振る舞いなんでしょうね。
ちょっとやっぱり普通の人と違う。

これまでも仕事では有名人とよく会いましたが、
でもプライベートで遭遇すると素な部分が覗けるから面白いです。
ではまた。
チャオ。




175 「長野と表参道」 12月9日

長野県に撮影に行ってきました。
東京から長野は意外に近く、南側であれば3時間ほどで行けます。
それゆえ車でと思っていたのですが、先週末から寒気が入ってきたせいで、この時期には珍しく積雪しているとのこと。
スタッドレスかチェーンじゃないと登れないよ、といわれたので電車で行くことにしました。
しかしこの選択で大変な目に・・・。

今回はフィルム撮影でかつ、ブローニーも必要だったので、中判一台、35が二台、そしてポラチェック用にデジタル一台。
それにレンズが5本、ストロボ、三脚、スタンドなど、重さもさることながら、体積的にもかなりの容量。
それを担ぎ、乗車率200%の日本一混んでいる田園都市線へ突っ込む。
スタッフとは現地集合だったので、おそろしいラッシュアワーの新宿から9時ちょうどのあずさ8号で松本に向かう。
この列車はとても快適だったものの、長野県で乗り換えたローカル線は大変で、
まず雪の積もる寒いホームで電車が出発するまで一時間ほど待たされ、耐えきれずにカイロを買う。
各駅で電車は停止し、人々は自分で扉を開ける。
そしてその度に目眩のするような寒気が車内を満たす。
おまけにのんびりしていて、なかなか扉が閉まらないのです・・・。
そんな調子で始発駅から終点までの2時間半・・・。
当然、最初から最後まで乗っているのは僕だけで、気が遠くなりました。
ちょっと笑いが出るほど、辛過ぎです。

結局、朝7時45分にでて、取材先に着いたのが夕方の4時でした。
当然、山間ですから日は沈み、一日が終わる気配が濃厚です。
暮れゆく空を眺めながら、俺の人生の一日が終わったのか、と肩を落とす・・。
とほほ。

撮影日には車道の雪も解けていて、全然問題なくノーマルタイヤでも走れそう。
そして翌日、新宿行きの高速バスがすぐそばから出ていることを聞く・・・。
もっと早く言ってよ・・・。

自宅に戻ると車に乗って、現像所に向かう。
現像所は世田谷の住宅街の中にある、体育館ほどの大きさのスタジオ内にあって、
よく芸能人らしき人とすれ違うことがある。
車で駐車場に入ろうとするとものすごい車の量。
ガードマンが飛んできて、止めたら出られなくなるから、第二駐車場を使ってと言われたのだけど、
場所が分からず、現像所に電話したら、所長がわざわざフィルムを取りに来てくれました。
以前も書きましたが、この所長はとてもいい人で、こんな人が現像してくれるんだったら、フィルムを使いたいな、と思わせる。
「駐車場の場所を説明しても分かんないと思ったから、取りに来たよ。
今日ね、キムタクが撮影にきてんだよ。50人くらい人を連れててね。だからあんなに一杯なんだ。困るよなぁ。ごめんね」
あんなローカルな住宅街にキムタクが来ているんだ、と軽く驚きました。
大阪でいえばサンスタみたいなものですからね。
そういえば以前、三茶に住んでいたという話を聞いたことがあります。

2時間ドラマの帝王、船越英一郎も近くに住んでいます(これはちょっと笑える)
でも同じマンションに大河ドラマなどにも出ていた若い女優が住んでいます。
いつも帽子を目深に被っていますが、駐車場などで会えば、こんにちはと挨拶されます。
そんなわけで僕もこんにちは、と挨拶します。

このマンションは事務所に使ってもいいので、ジャーナリストやアーティストがいて、
芸能プロダクションもあり、ちょっと面白いところではあります。

夜は撮影で東京のホテルに泊まっているノジョーと晩飯を食べました。
企業の撮影だというのに相変わらずのベルボトムで、でもまあサンダル履きじゃないところが成長と言えますでしょうか。
チャラチャラしたくないんだよ,オレは、といいながら、その夜は目黒一、チャラチャラしてましたけど。


今日の夕方、納品の帰りに表参道で降りて、原宿までの坂をゆっくりと歩きました。
道行く人は会社員もいますが、荷物や様子から何となく職業が分かる人たちがいます。
ミュージシャン、モデル、スタイリスト、カメラマンなど、すでに活躍している人なのか、卵なのかは分かりません。
でも多くの才能がここに集まってきて、花開く人もいれば、夢半ばに諦める人もいるのでしょう。
でもその鼓動というか、エネルギーのようなものが、街を歩いているだけで、ビンビン感じられます。
小さなひとりひとりの表現が細胞のように、東京を構築する一部になっているのでしょう。
この街が持っているパワーはすごいのだろうとあらためて思いました。





174 「冬の始まり」 12月3日

昨日は秋葉原に行って、買い物をしてきました。
最近はネットで買い物することも多いですが、日本を代表する安売りの店はほとんど秋葉原に集中しています。
パソコンにしてもカメラ機材にしても、しかりです。
郵送してもらえばいいわけですから、わざわざ足を運ばなくてもいいのですが、
でもネットの場合、買い物をした醍醐味があまりないので、秋葉原に出向くことに。

買い物をする店は下調べしているので、問題ないのですが、
何度行ってもこの街の本質というか、規模というか、そんなものが掴めません。
大きさに関していえば、おそらくとてもでかい。
どこから始まってどこで終わっているのか、それがわかりません。
関西の場合だと多くの店が通りに沿って開かれているので、往復すればなんとなくわかった気になれますが、
東京の場合は何かを中心にして、放射線状に広がっているので、街の雰囲気を理解するのはなかなか難しいです。
そんなわけで買物時、すべての店にいくのは不可能なので、出逢ったら買う、というのが楽です。
関西の時のようにすべてのものを見て、比較して手に入れるのではなく、
そのものだけを見て、どれだけ魅力があるのかを考える。
なんだかちょっとした目利きのトレーニングのようです(笑

人は少ない中では吟味できますが、それが無限に近いと疲れてしまって、最後はどうでもよくなってきます。
「要るものと要らないもの」
物であれ、情報であれ、そこのところを自分の中ではっきりとさせとかないと
踊らされてしまうことになりかねません。
いい意味でも悪い意味でも、東京には誘惑がたくさんありますね。

東京はすっかり秋というか、もう冬ですね。
家の南にある円山公園の木々も落葉し、落ち葉が緑道を埋めています。
そんな光景を見て思うのが「やっぱパリだよ」ということです(笑
東は日の入りが早く、4時には暗いです。
天気の悪い日には3時頃には日がないので、まるで極地付近の冬ですね。


来年の初めに「○の王国」で海外ロケに行くことになりました。
秋葉原に行ったのはその撮影のための機材の準備ということもあります。
一線で活躍するスタッフたちが参加する本ですから、
そこに無名である僕を使うという制作者側のチャレンジというか、その気持ちを真摯に受け止めています。
「頑張ります」というと編集長は「頑張んなくていいよ」と言って微笑みます。
もちろん、リラックスして撮って来なよ、という意味でしょうが、
でも今は背伸びをしてでもそうするしかないので、頑張ってきます。

なんだか東京が少しずつ楽しくなってきました。



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