250 「話すということ。そしてメッセージ」 10月29日

昔、エスクァイアの撮影でサントリーの山崎蒸留所に行きました。
樽がたくさん並んだ映像をよく目にしますが、あそこが山崎です。
山間にある静かな別荘地は土地の風格があり

千利休も茶室を建てた名水の地です。

世界で最も有名なブレンダーのひとりである、Kさんの撮影だったのですが、
そのたたずまいと口調には感心いたしました。

自分の中でしっかりと考えて、穏やかな口調で語ります。
その言葉がきちんとこちらの心に届くのですね。
優しい言葉に同居する強いメッセージが、暖かく語りかけます。

僕の人生において、話し方という点で感銘を受けたのは、たったの2回です。
もう一人は装丁家の方でした。
こんな話し方をする人がいるんだ、と感動しました。

Kさんからその後、お礼の手紙をいただき、
僕も強く心動かされたこと、手紙に書いてお送りいたしました。
それ以来、ずっとお盆と正月には手紙のやり取りをしています。


先週、帰阪したのはサントリーの仕事だったのですが、
居酒屋でご飯を食べている時、大阪広報部のある方が僕に言いました。
「チーフブレンダーのKをご存じですか」
もちろんと僕は答えました。
「NHKに出るんですよ。プロフェッショナルという番組です」

236回の日記で書きましたが、プロジェクトXに続くプログラムで、
3か月間、ずっと取材クルーが山崎蒸留所に通ったらしいです。
NHKならではというか、それを45分で放送するのはすごいです。
11月9日に放送なので、楽しみにしています。


話すことも含め、伝えると言うことはとても難しいですね。
日記を書くにあたり、できるだけ謙虚に、そして誰かを傷つけることのないよう心掛けています。
でもなかなか上手くいきません。
そこまで誠実になれないときもありますし、誰かを嫌な気持ちにさせているときもあると思います。
そんなつもりはぜんぜんないのに、稚拙さゆえ、上手く伝わらないことがあります。
ほんと難しいなぁ、と思います。

ただ僕はあらゆる人に対して極めて平等ですし、偏見も持たないようにしています。
人の悪口も言いません。
これらのことは思想のひとつと言っていいほど、僕にとって絶対的なものです。

話ひとつにしても、僕はどれほど自分が思っていることを伝えられているんだろう、と時に考えます。
感じた表層部分を言葉に形作るのではなく、
心の奥深くにある言葉を拾えているのか。

難しいです。
ふー。

そしてそれを誰かに伝えるためには、刺し違えるほどの真剣な覚悟が必要だとも思っています。
どんな内容であれ、こちらが本気だからこそ伝えることを躊躇しないのかもしれません。

軽薄な言葉は、いくら積み重なっても何も生み出しません。
もちろん全ての会話において、しっかりとした意味付けをすることは不可能ですし、疲れます・・。
会議じゃないんですからね・・・。

でも言葉を選ぶトレーニングは必要な気がします。
本当に語りたい時にそれができないのは、とても悲しいことです。


言葉はその人の思想や性格を映すものです。
自分が発する言葉、書く文章、それがきちんとしたメッセージを持ち、
自分自身を反映しているかということ。
表現者でなくても、それを伝えると言うことは大切なことだと改めて思いました。






249 「軽量化との戦いは続く・・」 10月22日

明日から、また大阪です。
最終便の新幹線
に飛び乗っての帰阪ですが、その前に大移動の撮影あり、
おまけに大雨の様子で、心斎橋のホテルまでの道中を考えるとぞっとします。

今日、撮影の前に開店同時にヨドバシに行って、カーボンの三脚を買ってきました。
少し短めで、飛行機にも持ち込め、カメラバッグにもいい感じで収まります。

どうしても欲しいものではなく、少しでも楽に、という気持ちでしたが、
いざ買ったら、なんだか新鮮で嬉しいものです。
意味もなく伸ばしたり、縮めたり・・・.
カメラを付けたり、外したり・・・。

取材先近くの駐車場で、雲台(カメラの台座のことです)を付けたり、問題がないか観察したりして、
その現場を見ていた地元の人はさぞかし怪しげに思ったことでしょう。
その勢いで撮影でも使いました。

そんなわけで、明日の用意を猛烈にやっています。
荷物を1グラムでも軽くしたいのに、雨なんですよねー。
傘いるかなぁ。
はぁ。

データが大量にあるので、マックノートを持っていく予定でしたが、
荷物を詰め込んだカメラバッグを持ち上げて、不可能だと思いました。
ひじが抜けそうになりました・・・。

ポータブルHDは持っていきますが、メディアが足らなくなったら、カメラのナニワに走ります。
もっと期間が長ければ、服でも現地調達が可能ですが、3泊ですから微妙です。
かっこいい服を探す時間がなければ、ダサダサで撮影しなければなりません・・・。

戦いは続きます。
チャオ。





248 「大阪の喫茶店と東京タワー」 10月17日

大阪から帰ってまいりました。
今回はなかなか、大阪らしさを堪能できたように思います。
まあ、らしさとは何か、というのを伝えるのも難しいですが・・・。

当たり前のように過ごしていた生まれ育った場所なのに、
「あまりの違いに驚くことが多かった」ということに驚いています。
わかりにくいですね・・・。

それはたぶん、東京のリズムや風習に適応してしまったせいなのでしょう。
あれだけ人が多くて、ただ疲れた東京の街が、今の僕にとっての日常になりつつあります。
新幹線を降り、東京駅の改札を抜け、大河のように流れる人波を眺め、
安堵する自分に時間の経過を見た思いがしました。
ああ、ここが僕の街なんだな、と思えました。
1 年と4か月かかって、そう感じたのですね。

個人差がありますが、適応するというのはかなり難しいことです。
それは職場であったり、人間関係であったり、僕のように、そのすべてだったりします。
向こうがこちらに合わせてくれることはないですから、やはり順応していく必要があります。
でも人間ですから、すべての人が上手くいくわけではないのですね。
能力があるなしに関わらず、ストレスを抱えて、病んでしまう人も多い気がします。
環境が変わるというのは大変です。

僕はどちらかと言うと先天的に鈍いです。
繊細だったり、几帳面に見られますが、実はまったくそうではありません。
自分の鈍さというマイナスな部分を理解しているからこそ、それを出さないようにしようと心掛けています。

こんなことを言うと、とても無理して生きているように聞こえますね。
でもそうして生きているあいだに、性質が変わってしまったのでしょうか。
今では誰の前でも、まったくの等身大ですし、
卑下することも、威張ることもなく、まったくの
フツーです。

常套句のように「人の性質は変わらない」と言われますが、僕は半信半疑です。
「人の性質は変えられる」。
この方が夢がありますよね。
実際、そう思いますし。


大阪には古い建物や、昔ながらの喫茶店などがたくさん残っています。
シアトル系のカフェが氾濫している東京に比べ、大阪は個人の喫茶店がたくさんあります。
これは大阪だけではなく、京都、神戸においても同じように思います。

ある店では接客してくれた、お母さんの愛情が伝わってきました。
東京ではこんな感覚を味わった経験がない、と思いました。

東京は冷たいという話ではありません。
あくまでライフスタイルの違いなのでしょうね。
固い氷を溶かすように、時間をかけて互いの心を開いていく。
東京での人との関係は、そんな感じかもしれません。

たとえば店主と客とが、そんな関係を築いていたとしたなら、
その店は現在の東京でも続いているのでしょう。
客との関係が希薄な店は、いつかなくなってしまうのかもしれません。

もちろん大変だとは思いますが、関西の喫茶店がいつまでも元気なのは、
そういった支持者が多いからだと僕は推測しています。


先ほど打ち合わせから戻ってきました。
夜の9時頃でしたが、御成門から六本木に向かう途中、東京タワーの足下を通ります。
声を上げるほど、綺麗で迫力のある東京タワーがそびえ立っています。
遠くから眺めても悪くないですが、夜、見上げる風景はすごいですね。
おそらく誰が見ても声を上げるのでは、と思います。

以前も書きましたが、東京タワーほど僕たち上京組にとって、シンボリックなものはありません。
上京するということは、覚悟を決めるということです。
生まれ育った土地を離れ、どんな困難にあっても、新しい扉を開きたい。
上京組の気持ちを言葉にしたなら、そういうことなのかもしれません。
東京タワーを見るたび、いつもそんなことを考えます。


月末に向けて、かなりタイトなスケジュールになりつつあります。
途中、撮影を終え、自宅に車を置いて、機材を詰め替え、最終の新幹線に飛び乗る、という日があります。
それぞれは別の仕事ですが、心配なのは果たして間に合うのか、ということです・・・。
もう、ほんと移動が多いですね。

機材さえなければ、走れるし、もっと気軽に動けるのですが、
機材持ってなかったら、行く意味ないですよね・・。
何しに来たの、という感じです・・・。

ではまた。









247 「帰阪前の追い込み(汗」 10月11日

帰阪のために、仕事を溜めないようせっせと働いています。
明日、撮影したものを加工し、発送すれば金曜日には大阪に行けます。

日曜日には帰らねばなりませんが、友人に会ったり、
おいしいもの食べたり、ボケ、ツッコミを交えた会話を楽しみ、
ほぼ半年ぶりの帰郷を楽しみたいと思います。

そんなわけで仕事に戻ります・・・。
ではまた。





246 「アートディレクターYさんと色ムラ現像」 10月7日

今日は久しぶりに晴れ渡りました。
まぶしいほどの空の青さです。

近くに大きな教会があって、結婚式らしく鐘の音が心地よく響きます。
昨日は嵐のようだったのに、天気にも恵まれて幸運な方々です。

今朝は早く起きて、8時過ぎからデータの加工をしておりました。
この一週間、撮りっぱなしでぜんぜん処理をして来なかったので、かなりの量です。

ひとつは大急ぎなので、ADのYさんがわざわざ三茶まで取りにきてくれました。
Yさんは下北沢に住んでいるので、近くて何かと助かります。
大容量のデータをPCで送っているくらいなら、
持って行った方が早いくらいの近さです・・・。

最近、仲良くしてもらっていて、たまに食事もしたりします。
とても不思議な魅力のある方です。
どういう生き方をしたら、あんな風になれるのか、と思ったりします。
今まで出逢ったことのないタイプの方ですね。

ある程度の年齢になったら、人の表情や目は無意識なうちに何かを語っているものですし、
それはその人の歴史であり、生き様であり、そして思想の反映であると思うのです。

表情にいろんなことがリフレクトされるわけですから、
恐くもあり、同時に面白くもありますよね。
Yさん、これからもよろしくお願いします。


ずっとデータの現像を繰り返しています。
もうすぐ最終の現像が終わりそうな気配です。

最近は同じ写真を色温度を変えて流してみたり(色の違う写真を複数枚、作るということです)、
それをレイヤーし(重ねること)、露出の濃淡ではなく、色ムラを作っています。

クールであるけど暖かいポートレートとか、青みが強いけど美味しそうな料理写真とか、
本来、対極にあるイメージのものを重ね合わせるのですね。
もちろん、何色が、どこに、どれくらい必要か、という判断は必要です。

この作業は何となくやっていて、答えが見つかる種のものではなくて、
写真を穴が開くぐらい眺めて、どこをどうするのか、という判断が初めに必要な気がします。
もちろん僕も試行錯誤中なので、いつものごとく失敗を繰り返しています。
ご迷惑をかけているみなさん、すいません。

それにぼかしを入れたり、オリジナルのフィルターを作ったり、
その組み合わせの多さには気が遠くなります。
でも手法が多過ぎて、昔、簡単にやっていたことが思い出せない時があります・・・。
歌手がデビュー曲を忘れてしまって、ハミングでごまかしている感じでしょうか(ちょっと違うか・・)。

まあ、何はともあれ、現像は終わったようです。
でもまぶたが重くなり、僕の今日も終わりが近づきつつあるようです・・。
朝が
早かったので。

おやすみなさいまし・・。








245 「帰阪 ノジョー(高木俊幸氏)
写真展」 10月2日

10月になってしまいました。
何だか、あっという間に年末ですね。
強く願った新年の抱負も、今となっては思い出せません・・。
思い出せないゆえ、叶ったのかどうか、わかりません。
ううーん。


話は変わりますが、ノジョーのビーツギャラリー写真展を見るために帰阪します。
仕事が上手くいけば、金曜、土曜の夜はギャラリーに寄せてもらいます。
土曜の夜はまず大丈夫だと思います。

ノジョーがカラー現像の暗室を作り、作品展を行うので(だよね)、楽しみにしております。
みなさま、ご友人をお誘い合わせの上、ご来廊くださいませ。
http://homepage3.nifty.com/beats-gallery/

僕はちょーおいしい、たこ焼き食べて、日曜の早々には帰京します。

それでは。

 

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