196 「SAのメシとターニングポイント」 3月26日

あっという間に月末になってしまいました。
すいませんです。

長期の撮影で大阪に帰ってました。
機材が多いので車です。
往復1200kmです。
帰りは行楽客の渋滞に遭遇し、9時間かかりました・・。
ふぅ・・。

毎度のことですが想像を絶するほど遠い距離なのでですが、
その中で食事は結構な楽しみであります。
愛をまったく感じられないような、食事を提供するサービスエリアもありますが、
特産品を生かし、頑張っているSAもあります。

富士山の麓にある富士川SAは静岡県で有名な桜えびを使った「桜えび丼」というものがあります。
小さなエビをかき揚げにし、ご飯の上において、あまだれをかけます。
少し濃いめの味ではありますが、運転で疲れた時にはかなりおいしいです。

名古屋周辺ではやはり八丁味噌を使った、料理を食べることが多いですし、
養老SAは平均的になんでも美味いです。
食の意識が高いのでしょうね。
海老名SAではメロンパンが有名なようで、焼き立てができました、と叫んでいます。
これもかなりおいしいです。

最近のSAはギャラリーとか、食以外の施設も多くて、
あんまりゆっくりしていると目的地にたどり着きませんので、ほどほどにした方が良いかもしれません・・。


今回は最終日の撮影が早めに終わったので、久しぶりにビーツギャラリーに寄ってきました。
様子がすっかり変わっていて、ムービーの部屋はさしずめ、ミニシアターと言ったところでしょうか。
ゆっくりと映画でも見たくなるような、そんな素敵な空間に様変わりしていました。
相変わらずの不思議な磁場を発している良い空間でした。
Oじまさん、Kがわさん、Aづまさんの3人と偶然出逢えて、とても楽しい時間でした。

この場所は僕にとって、間違いなくターニングポイントでありました。
ひょっとするとビーツがなければ、僕が上京することはなかったかもしれません。
ずっと関西で暮らし、カメラマンとして生きる。
自分が生まれた土地で暮らしていけるのは幸せだと、こちらに来て、あらためて思います。

自分が生まれ育った場所では仕事がないから、東京にいる、と話す人たちが多い中で、
僕は仕事がありながらも、もっと違うものを求めて上京しました。
そんな意味ではとても贅沢な選択だといえなくもありません。

正直、東京には面白い仕事がたくさんあります。
ただ上京したら、そんな仕事に関われるということでもはなく、
当然、いろんな面において、代償を払わねばなりません。
そのすべてを語るのは大変ですが、例えばそれは生まれた土地を離れることであったり、
関西で頑張ってきたプライドを押し殺すことであったりします。
もちろんそれらは一時的なものであるとは思いますが、タフさは必要です。

このHPを見ている人で、上京を考えている人もいると思います。
ただこれはイバラの道です。
何かを得るために失うこと、傷つくことは、先ほども書いたように払うべき代償です。
それでもこの東京を目指すのは夢が見られるからでしょうね。

そんな感じですから、僕は「東京に来た方が楽しいよ」なんて、軽々しく言いません。
上京したい人はしっかりとした意志を持って来て欲しいです。
この場所でやって行くんだという、強い気持ちなしで、切り開いて行くことは難しいです。

ただそれさえ乗り越えられれば、僕たちにとって東京は魅力的な街です。
カメラマン冥利に尽きるような仕事が、たくさんあるのだろうという気がします。

たぶんこれまでの人生の中で、今ほど生きていることを実感した経験はないかもしれません。
まあ、毎日が大変だと言うことですが・・・。

そんなわけで、アディオス!(久しぶりだな・・)





195 「AD」 3月16日

今回の夢は加工したデータを朝イチ、バイク便で渋谷に送り届けるというもの。
データが仕上がったのはいいものの、気が付けばそこは大阪。
ええっ!な、なんで大阪なんっ!どうしよ、どうしよ、と冷汗を流す・・・。
目が覚めてもやっぱり。汗びっしょり・・。
あーいやな夢。
ちょっと時間に追われているせいでしょうか。
とほほ。

昨日は六本木で撮影。
担当ADの方がカメラマンのO島さんやS崎さんを知っている人で、2人のいろんな話題を楽しみました。
夕方、レクサスの撮影で青山に移動。
また別のADがやって来て、「ここはここ角度から」とか「文字をのせたいので、少し広めに」とか、
ものすごいスピードでディレクションし、2人でディスカスして、嵐のように渋谷の事務所に帰って行きました。

ADと打ち合わせしながらの撮影はとても多く、パワーはいりますが楽しい作業です。
光の強さやフレームの加減など、話し合う内容はたくさんありますが、
僕と違う感覚の人が、僕の撮影に加わるのはちょっと新鮮です。
「あーなるほど、そんなアングルがあるのかぁ」とか「あーそれもありだよね」なんていう発見も多いです。

自分だけの感覚で撮影していると、表現域を広げることは難しいですが、
優れたADが関わってくれれば、表現の落としどころ、つまり表現の変化を一気に変えられるチャンスであると思います。
そして感覚を共有できることの面白さがあるのでしょうね。

撮影を終えると電話の着信に気が付く。
留守録を聞くとまたまた別のADが・・。
「もし近くにいたら、帰りにでも寄って下さい。この間撮影分の・・・。」
残念ながら近くにいます・・。
また何か追加ですか・・。
とほほ・・。

 





194 「正夢とカメラバッグ」 3月12日

前回、あんなことを書いてしまったおかげで、大変な目に会いました。
翌日、「明日中に加工して送って欲しい」と突然言われたのです。
まさに正夢。
また今夜もか・・・。
夜が白々と明けるまでパソコンの前に・・。
仮眠して色見本を作り、CDに焼いてバイク便で送りだす。

ホッと一息ついた後、ボーッとしながら美容室へ。
最近はかなり髪の毛が長かったので、バッサリと切りました。
茶色い髪のイガグリ頭で、リアルイガグリです・・。
不良の磯野カツオのようですが、まあ、新入学の季節でもありますし、いいでしょう。

先日のスタジオ撮影でもTシャツで汗をかいていましたし、
髪が少しでもすっきりとしたのは良かったです。

昨日は田町にあるホテルで早朝から撮影でした。
昼休みがとても長かったので、食後、街散策に。
港区芝浦ではありますが、緊張感のない街でのんびりしましたね。
なんだか地方の駅前のようで、みんなは面白くないといっていましたが、
僕はあのヤヤダサ感がいいなと思いました。
似通ったところがあまりなく、それぞれが独創的な東京の街は面白いです。

話は変わりますが、先週ネットで買ったカメラバッグが到着しました。
カートの付いたリュック型で、パソコンが入るようになっています。
飛行機を使う地方ロケや海外ロケ用ですね。
新幹線の場合は荷物を預けないので、いつもの大きいバッグでいいですが、
飛行機の場合は手荷物のサイズに制限がありますので、これを買ったと言う次第であります。

機材や旅のスタイルが決まってくると、道具選びもやり易くなってきます。
もうどこでも行く気、まんまんです。
ただ改造しないと耐久性がないので、またネットでローラーブレードのタイヤを注文しました。
バッグの裏地をめくり、リベットを外し、穴を開け直したりとかなり手を加えないといけなさそうです。

でも本当に違いますからね。
さっきどんな引っぱり心地かと、バッグを引っ張って三茶を歩いてみましたが、
タイヤが固いせいか、みんなが振り返るほどすごい音だし、手に伝わる振動がすごいです。
カメラがバラバラになりそうな勢いですね。
改造結果はまたの機会に・・。
ではまた。






193  「夢とLUCKと加工」 3月9日

明日の午後2時までに写真を用意して下さい、とADに言われてちょっと顔が青ざめました。
そんなの絶対に間に合わないよぅ、と冷汗をかきましたが、それが夢だと気が付いてホッと胸を撫で下ろしました。

昨日は朝から白金のスタジオにこもって、洋服、カバン、ジュエリーなどのぶつ撮り。
頑張って急ぎで終わらせると、外苑にある靴職人の工房へ向かう。
北青山の地下にこんなでかい工房があるだなんて、かなり驚き。
天井が低い体育館といったところでしょうか。
ずらりと並ぶ机や椅子、ライトスタンドなど家具のほとんどが本物の職人用で
蛍光灯なんてやぼったいものはなく、すべてがタングステンランプか、水銀灯でした。

ジョンロブで修行されたこの若い女性が作る靴は、一足30万円からで、30年は履けるそうです。
30年か・・・。
と言うことは、ほぼ死ぬまで履けるということですね・・・。

東京に来て関西と違うなぁ、と思うところにモノにたいしての価値観があります。
関西は値段が手ごろで良い品、といういわゆるコストパフォーマンスを追求しますが、
東京の場合は値段が高くてもいいから、良質なものという傾向が強くあるように思います。
そして自分が誰かから見た時、どのように見えているか、ということの関心も高いように思えます。
いわゆる見た目ですね。

でもそれが決して悪いわけではなくて、そのように振舞うこと、そのような環境に身を置くことで、
良質、スタイリッシュであることが意識にすり込まれていくような感覚があります。
もちろんその価値がすべてではありませんが、でも僕も商業カメラマンである以上、
それは無視することのできない価値観ではありますし、今のところ新鮮で面白いです。

まわりに仕事のできる人がたくさんいることは幸せですが、それはカメラマンにしても然りです。
すごいと思うカメラマンがいっぱいいるわけですから、そこから抜きん出るためには、
腕前は当然のことながら、LUCKというものも抜きには語れなさそうです。
でも運を鍛えるわけにはいきませんからね・・。
とりあえず笑って明るく過ごしましょう。

何だか東京に来て一気にスピードアップした感じがします。
車でいえばトップギアに放り込んで、アクセルべた踏みまではいきませんが、
近い将来、そうなれば嬉しいですね。

でも差しあたって僕がすべきことは、昨日撮影したすべてのデータを加工し、
今日中にバイク便で発送するという、かなり目先の作業です。
終わるのかなぁ・・・。
とほほ。





192  「K君と編集者とAD」 3月1日

今日で仕事が一段落して、ホッとひと息しています。
今、RAWデータの現像中ですが、まだまだ時間がかかりそうなので、ほおっておきましょう。
先週のサントリー撮影分は、ADの方がベタから写真をセレクトした後、
加工して下さいということなので、ずいぶんと助かります。
5ギガあるデータのすべてを加工するのは大変ですからね。
今回は時間に余裕があったのと、ADの方に気を使っていただきました。

日曜日に大阪からカメラマンのK君がやってきました。
三茶に来てみたいということなので案内しました。
ジーンズに黒のキルティングジャケットという、色もかたちも同じ出で立ちで、
まるでホモのペアルックのようでした・・・。
恥ずかしかったですが寒くて脱ぐわけにもいかなかったので、そのままハンバーガー屋に行くことに。
すべてが手作りのハンバーガーはとてもおいしく、K君は感動しているようでした。

その後、キャロットタワーやいい感じの喫茶店に連れていってあげました。
「なんか三茶、いいですねぇ。帰って来たっていう感じがします」と彼。
おいおい、帰って来たも何も自分、大阪やん・・・。

まあ、でも彼がいわんとしていることはわかります。
たしかに僕も三茶に帰って来てほっとするのは事実です。
自宅があるからというのではなく、気取らない街の雰囲気がそう思わせるのかもしれません。


夕方、表参道に翼の王国の納品に行ってきました。
少々、時間が早かったのでコーヒーでも飲もうと表参道を下っていると
見たことのある看板が・・・。
あれは・・シャノアール!
僕が三茶で入り浸っているシャノアールが表参道にもあっただなんて。
おー、マイラブ。
2階席の窓側に座る。
目の前に広がるのは表参道ヒルズ。
もーなんだか、さいこー。

というわけで、翼の写真を編集長にお見せしました。
あまり褒めないタイプの方で、これはもっとこう撮って欲しかったな、とか
ここの写真はないの、とか、いろいろとお叱りを受けましたが、
これはとてもいい、と言って下さった写真があって、それは僕が旅のベストショットと思っていたものですから、
頑張った甲斐があったというか、嬉しかったです。
とりあえず及第点というところで、首が繋がっているかんじでしょうか。
肩の荷がおりました・・・。

その後、歩いて原宿に別の納品。
コピーライターのDさんに紹介していただいたADの方で、独立して間もなく、
世代的にも近いのでこの先もご縁がればなぁと思っています。

ブックを見てもらうのはたいてい編集者かアートディレクター(AD)ですが、
東京でも写真をきちんと理解できる編集者は残念ながらそれほど多くありません。
こんなことを書くと編集者の方々を敵に回しそうですが(笑)、
でもいつかカメラマンとして上京したいと考えている誰かのためにも、
そして編集者の方々に期待を込めて書くべきなのだろうと思います。

出版社も文字媒体が得意なところと、ビジュアルに長けているところの大きく2つに分かれます。
後者は写真の知識を持っている優れた編集者がたくさんいたりします。
このような出版社と仕事ができればいいのですが、前者の場合、 カメラマンをカテゴリー別に分けたがる傾向にある気がします。
たとえば、この人は人を撮る、この人はモノ、この人は料理、とか。
分かりやすく編集者のヒキダシにしまわれるようです。

僕のように何でも撮る人の存在は、どうもイメージが湧かないらしく、
「ところで何が得意ですか、川田さんの名刺の裏に何を撮る人なのか、書かなきゃいけないので」
と言われた時はちょっとびっくりしました。
この人にこんなモノを撮らせたらどうなるかなぁ、なんていう発想は期待できなさそうで、
毎打席、確実にヒットを打ってくれる人が望まれています。
編集者としては当然のことですが、カメラマンからするとルーティーンですから、面白味に欠けますし、
いいものを作ろうとするモチベーションを保つのはかなり大変なことだと思います。
合格点の仕事はできますが、ビックリするほどいいものもまたできません。
ルーティーンの中に爆発するようなエネルギーを見つけるのは難しいことです。

でもカメラマンの能力を引き出すのは編集者の仕事でもあると思いますし、
束縛されない自由な発想や創造を僕は期待しています。
カメラマンがこれまでの枠を超えていけるかどうかは、編集者の心意気にかかっていると言っても過言ではありません。
擦り寄るわけではありませんが、これまでお会いした数人の編集者はとてもクリエイティブでした。
みなさんとてもキャリアのある人たちばかりで、 ビジュアルに強く、発想は柔軟でした。
このような編集者たちの存在はカメラマンにとって、ちょっと感動です。

ADは当然のことながらビジュアルに強いですし、経験のあるADはカメラマンが何を撮る人か、というよりも、
どのような作風なのか、ということに関心をおくケースが多い気がします。
そういった意味では作風がADの好みに合わないと何も広がりません。
良い悪いは別にして、好みというものがあるのでしょうね。
ただ自分の写真が好きだ、と言ってくれるADに出会えれば、これは幸せです。

原宿にアトリエをかまえるADの方は、もっと僕の写真を見たいと言ってくれました。
完成度なんて高くなくていいので、もっと素の部分を見せて下さいと言われました。
言葉は温かく、真摯で、僕の心に穏やかに届きました。

喜びだけを手に入れるのは難しいです。
喜びと大変さは背中合わせのワンセットです。
頑張っていきましょう。


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