716 「ずっと先の未来について」 5月30日


適当に繋ぎ合わせた8ミリフィルムのように、
小さい頃の記憶が断片的に残っています。

その前後はすっかり忘れていますが、
ある部分だけは脳に刻み込んだかのように、
思い出せるシーンがいくつかあります。

例えば映画。

スピルバーグの「激突」でトラックが谷底に落ちるシーン。

もうひとつはスティーブマックイーンが「大脱走」で
バイクでの逃走に失敗し、鉄条網に捕らえられ、立ち尽くすシーン。

で、もうひとつは「イージーライダー」でバイクに乗ったデニス・ホッパーが
ライフルでぶっ飛ばされるシーン。
それに怒った相方のピーター・フォンダも同じく射殺されてしまいます。
子供にとって、この終わり方は衝撃でした。

Born to be wildがクールで(記憶が確かであれば・・)、
ストーリーはぜんぜん理解できなかったような気がしますが、
日本人の子供には知りようもない世界が、
アメリカにはあるのだ、と心に強く刻みました。

今日、そのデニスホッパーが亡くなったことを知りました。




映画を見てから10年ほどして、僕は同じように
一人でフリーウェイを走ることになるのですが
看板のほとんどが暇つぶしのために、
銃で撃たれてボロボロになっていました。

走りながらシューティングして、
遊んでいるのでしょう。

本当はバイクで走ろうとチョッパー型のアメリカンバイクを買いましたが、
危険過ぎると言われ、(マジ撃たれる)結局、車で旅することになりました。

街で暮らすかぎり、それほど意識することもないですが、
そこを離れ、一歩内陸に入れば、自分の身は自分で守るしかない、
ワイルドな荒野が見渡すかぎり広がっています。

それを見たとき、子供の頃に抱いたアメリカのイメージが
自分の置かれている環境と初めてシンクロしたような気がしました。
映画ではなく、現実の世界なのだと。



その80年代の終わりはアメリカの栄華がかろうじて感じられる、
ギリギリの時代だったと僕は考えています。

その立役者たちも少しずつこの世を去り、
寂しさと時代の変化を想います。

残念ですが時代は変わりゆくし、
生あるもの、いつかは滅びます。

親はいなくなるし、自分にだって死を迎える日が間違いなく来ます。
これは誰にも避けようがなく、生きているもの、すべてに言えることですよね。

昔は自分が死ぬ日が来るだなんて、考えたこともありませんでした。
死なないなんて思っていたわけではなくて、リアルに捉えられなかったんだと思います。

でも今はある程度、想像できます。
老いるということはどういうことなのか。
死を受け入れるために、僕が今すべきことは何か、と。


そんなわけで僕は誰が何と言おうが、生涯現役と決めています。
カメラマンとして求められるかぎり、僕はいつまでも写真を撮り続けたいと考えています。
ずっと現役でいられる方がきっと楽しい。



先日、エベレストを見たとき、あの頂点に人が登ることが信じられないと思いました。
3万フィート、飛行機巡航の高さですからね。

でも三浦雄一郎氏は75歳であそこに立ったんだと・・・。
人は頑張れば、いろんなことができるんだと思いました。
もちろん想像を絶するトレーニングをされていると聞きました。

以前、撮影でお会いしたとき、足を引きずっていたのですよね。
エベレストのすぐ後だったので、足を痛めているのかと思って尋ねたところ、
片足に5キロだか、10キロだかのオモリが入ってる、と言っていました・・・。

そういう人たちの考え方を聞くと
あまりにも普通に暮らしている自分をちょっと恥じてしまいます。



たぶん人の可能性というものは、自分たちが考えているよりもずっと高くて、
いろんな想いを叶えられるかどうかは、年齢や環境などではなく、
結局のところ、その人の想いの強さなのだろう、という気がします。

ありがとうございました。




 

 

 

715 「コンペ」 5月22日

本当は仕事をしなきゃいけないのに、
なかなか気分が乗りません。

ロケの疲れが溜まっていたのか、調子の悪い一週間でしたが、
やっと元に戻ったような気がします。

それゆえ今日は久しぶりにジムでハードに動きました。
ウエイトマシン、そして1時間のランと1時間のバイクです。
あとプールに行けばトライアスロンですよね・・・。

さすがにグッタリです・・・。
やり過ぎました。


今の仕事のひとつにコンペ用の素材を揃える、というものもあります。
コンペ自体はもう当たり前に日常の会話に登場します。

カメラマンにコンペ用の素材を出して欲しいというものは少ないですが、
でもそんなコンペほど良いものを作りたい、という希望の現れだと解釈しています。

企業のPR的なものがほとんどですが、
「題字はダソソレが書き、デザインは何々をやっている、あのナニガシ、
そしてこの企画が通れば、ビッグゲスト、こんなソレガシに登場していただく予定・・・」
みたいな話ですが、全体の調和感はさておき、それぞれがプロフェッショナルなので、
一発でそこそこクオリティの高いものが出来上がってきます。


仕事としては面白い部類に入るのですが、横入り参加はあるものの、
コンペから勝ち取った、という仕事は今まであまりないような気がします。

初めの頃はメチャメチャ気合いを入れて作っていましたが、
何度やってもダメなので、最近は力を抜いて、リラックスして作っています。
たぶんそれほどの期待度でちょうどいいのかもしれません。

東京に来てから、仕事や誰かに過度に期待することはなくなりました。
ガッカリしたくないから、傷つきたくないから、
そんな想いが知らず知らずのうちに、期待することを止めさせたと思うのです。

それが心の状態として良いことかどうかはわかりませんが、
自分が東京で学んだ処世術のひとつでした。

もちろん期待していなかったものが実現した時には
ものすごく素直に喜びますけど。


今はもう傷つきたくない、というスタンスではなくて、
世の中とはそういうものなんだ、と捉えていますし、少しはタフになった気がします。

ガッカリしてる時間があったら前に進め、といつも自分に言い聞かせます。


ではまた。

 

 

 

 

713 「帰国とマック修理」 5月15日

帰国しました。
前日の飛行機に乗り、ネパールのカトマンズからバングラデシュのダッカを経て、
香港でトランジットをし、翌日の午後、成田に到着・・・。

帰ってデータを落とそうと思ったら、パソコン立ち上がらず・・(汗
おまけに電源ボタンが点滅してる・・・(焦
ナニコレ・・・・。

ブックを立ち上げ、調べてみるものの、分からない。
50ギガの処理はブックではちょっとキツい。
汗タラー・・。

マックプロからすべての配線を抜き、
今、仕舞ったばかりのスーツケースにパソコンを詰める。
取っ手が千切れそうな重さ・・。

車に積み込み、渋谷のアップルへ。
ジーニアスバーで泣きついたら、修理は予約だけです、と。
再び、汗タラー。

預かって修理することはできますが、その場合、10日は見て下さい、と。
ダメだ、それでは間に合わん。
やはり新しいものを買うしかないのか・・・。

そう思ったら、修理のお客さんが来ないこともあるので、
キャンセル待ちをされたらいかがでしょうか、と提案してくれる。
もうそうするしかないとキャンセリングリストへ。
すると幸運なことに30分で名前が呼ばれます。

こうこう、こんな感じで、こんなにも困っているんです、ウォーンと泣きついたら、
テキパキ、カチャカチャと5分で直りました。
ホントに・・・。

おまけにお金は要りませんと。
アップル、サイコーです。

そんでもって、データを落とし、写真をザックリとセレクトし、
サーバーにアップしました、ほっ。


まだ2、3日撮影は続きますが、それが終わったら、
ヒマラヤ日記を書く予定です。

しばらくお待ち下さい。


ニルギリ。
7000メーター級です。

おそらく手前の山が富士山くらいなのでは。
地元民は「丘」と呼んでいます・・・。

写真を撮っている場所がすでに3000メートルで,
桁外れにすごいのですよ、これが・・。

ではでは。




 

712 「ネパールロケ」 5月4日 


成田、香港、そしてカトマンズ。
一泊してネパールの国内線でさらに移動。
そこで一泊して、また国内線に乗り、ヒマラヤの麓の町に辿り着きます・・。

書いているだけで、遠い・・ですね。
3日目の午後から撮影が始まる、といった感じです。



スーツケースはカトマンズのホテルに置き去りにされ、
必要な着替えなどはダッフルバッグに詰め替えられ、ポーターが運ぶ、というプラン。

今、東京でスーツケースをパッキングしていても、
借りることになるダッフルバッグにどれだけの荷物が入るか分からないので、
もうひとつやりがいがないというか、ラチがあかないというか・・。

やはりかなりの荷物がスーツケースとともに
カトマンズに置き去りになるのでしょう。

たぶん置いていくとすれば、大量のお菓子ですね。
残念ながら・・・。



日本はどこでもいつでも食料を買えますが、外国って買えないことが多いんですよね。
お腹が減るって苦しいんだな、ということをあらためて強く感じたり。

食料を求めて夜中に街を徘徊するくらいなら、
重くても日本から持ち込もうと。
最近はそう思っています。

現地で何かを探すことはとても難しい。
乾電池すら買えなかったり。
飲み水を買いに行くために何十分も歩いたり。

東京に暮らしていると分からないことだらけです。
どちらが良いのか、ということは一概に言えないと思いますが、
ただ多くの意味で東京が豊かである、とは言えないでしょうね・・。
長くなるので割愛しますが。



今回はパソコンなし。
ストレージなし。
メディア60ギガ持って行って、撮りっぱなしです。

iモードも使えないし、電話もあるんだかどうか、という環境ですが、
何もなければ、それでもいいか・・と吹っ切れた気持ちになれるのが不思議なところです。

ヒマラヤの麓の村にどれほど何もないか、ということが楽しみでもあります。


8000メートルの山というものは、どういうものなのでしょうね。
それが見られるのがとても楽しみです。



では行ってきます!




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